日本では、もともと和室に応じた生活スタイルが基本となっていましたが、近代化が成熟した現代では、欧米式の生活スタイルが中心となっています。

ただ、生活様式というのは、そもそもその国・土地環境に応じて育まれていくもの。環境がことなる他国の文化が機能的なものとはならないことも多いんですよね。

目次

ベッドは日本の生活環境に適しているのでしょうか?

マットレス現代日本においては、洋式の住宅が主となっています。寝室においても、「畳床(和室)」の割合は少なくなり、「フローリング床(洋室)」の割合が高くなっています。

西洋式の住宅となるにつれて、ベッド利用が拡大。ベッドを使うことが当たり前の出来事となってきたのですが・・・。

本当に、日本の生活環境にて、ベッド利用は必要なのでしょうか?ベッドならではの機能性が活かされているのでしょうか?

単に、形式的な要素だけで、ベッドならではの機能性(利点)が活かされていないのであれば、ベッドを利用する必要はありませんよね。

まずは、そんな「ベッドの機能性(メリット)」をピックアップしてみたいと思います。

住宅内での土足文化により、育まれた”ベッド”。

そもそも、”ベッド”は欧米の土足文化(靴を履いたままで住宅を利用)の元、育まれた生活スタイルのひとつです。

そんな寝室環境にて、求められた機能性が下記となります。

*外部の土・埃が持ち込まれた床への対応。
*動物・昆虫の侵入からの危険回避。
*靴を脱いで寛げる場所の創出。(常設)

といった要素があげられます。

住宅の寝室も靴を履いた状態での利用が基本。当然、寝室の床は外部からの土・埃にまみれた環境となっています。

そんな状況にて、マットレスなどを床に直置きすることは出来ませんよね(不衛生)。ゆえに、床から距離をとった家具としてのベッドが機能を発揮することとなるのです。

また、国・環境によっては、住宅内部に危険な動物・昆虫が浸入してくるケースが存在しています。(ヘビ・サソリなどの侵入。)

睡眠中は最も無防備な状態となるもの。そんな危険な動物・昆虫たちから身を守るためにも、床から距離をとった、ベツドが有効なアイテムとなるのです。

日本の生活環境においては、ベッドの機能性があまり活かされることが少ない。

”ベッドの主なメリット(機能性)”となるのが上記に記した3要素です。

日本の生活環境を考えると、ベッドの機能性(3要素)はほとんど活かされなていないことがわかるんですよね。

日本の住宅は、靴を脱いで利用するスタイルが主流となっています。ですから、住宅の床が外部の土などで汚れることはありません。ゆえに、”外部の土などで汚れた床への対応”は必要とされていないのです。

また、基本的に、危険な動物・昆虫の侵入の心配もほとんどありません。もちろん厳密に言えば、小動物や昆虫の侵入の可能性はありますが、危険性の高い動物・昆虫が浸入する可能性はあまり無いので、その対応も必要とはならないんですね。

”靴を脱いで寛げる場所の創出”に関しては、そもそも家の中では、靴を脱いで生活している状況。課題すら存在していない状況です。

日本の生活環境下にて、メリットとなるベッド要素は?!

基本的にベッドに求められている機能性に関しては、ほとんど日本の生活環境下では活かされてはいませんでした。しかし、そんな中でも、実用性を考えたときにメリットとなる要素はあるもの。それが下記要素です。

*腰への負担が少なく起き上がることが出来る。

この1要素です。

ベッドフレームの高さにも、いろいなバリエーションがありますが、マットレスの厚みを踏まえた高さがあることから、起き上がり時に腰への負担が少なくなることがあげられます。

ただし、立ち座りしやすさを考慮した場合には、マットレスの厚みを含んで、「床から40cm~50cm程度」の高さが必要と考えられています。

ベッドの最大のデメリットとなるのが「落下による死傷事故」です!

落下事故”ベッド利用”において、最大のデメリット(危険要素)となるのが『ベッドからの落下事故』です。

あまり、意識されている方が少ないのかもしれませんが、年間通じて、ベッドからの落下による死傷事故は、毎年一定数存在しており、発生件数も決して少なくない状況なんですよね。

日本においては、「幼少児のベッドからの落下による頭部外傷」や「高齢者のベッドから落下事故」が多々発生しています。中でも、近年、介護施設や病院施設にて、高齢者・患者がベッドから落下することによって、骨折や大きな損傷を生じる事故が存在しているのです。

ベッド利用が主となる欧米各国では、さらに年間でのベッドからの落下による死傷者数が多くなっています。

狭い寝室にて、サイズの小さなベッドを利用しているケースが多い日本では、ベッドからの落下の可能性が高い状況となっていると・・考えることもできるのではないでしょうか。

結論(私見):ベッドを利用する積極的な理由は無し。マットレス・敷布団の直置き利用が最適かと。

あくまでも、私見となりますが、ベッドの利用に関して、機能的なメリットは、「起床時の腰への負担軽減」といった要素のみと考えられます。

”ベッドからの落下による死傷の可能性”を考えると特に地震の多い日本ですからね。マットレスや敷布団を床に直置きして活用することの方がメリットが大きいものと感じています。

ただ、”腰への負担軽減”を課題としている場合には、「マットレスを含めた床からの高さが40cm~50cmとなるベッドの活用」は有効なものとなるものと考えます。それ以外の低い高さ&高い高さのベッドは、そもそも日本においては、効果的なアイテムとはならないものに。