現代日本において、三人に一人は、何かしらの睡眠の不満を抱えていると言われています。単なる寝不足に留まることなく、不適切な睡眠習慣は、”睡眠負債”という言葉が使われ始めたように、心身へ大きな負担を強いいる要素となっています。

そんな睡眠の課題・・実は、近年、大人だけでなく、なんと子供たちにも大きな影響を与えつつあるとの報告も。子供たちの睡眠環境に関しても十二分な配慮が必要となっているものと感じています。

建築士が考える子供部屋の適切な睡眠環境作りのポイント。

子供部屋子供たちが睡眠の課題を抱えるようになってきたのは、現代社会ならではの生活習慣が大きな影響を与えているのかもしれません。

学校での勉強だけでなく、帰宅後の塾通いは多くの子供たちにとって通常化。必然的に夕食をとる時間も遅くなるものです。

遊びの内容も、ゲームが主体。スマホなどを日常的に活用する子供たちも増えています。

それらの要素は上手に時間配分を行っていないと脳への偏った強い刺激をもたらし、入眠障害や中途覚醒などに繋がる一要素となるもの。現代社会では、より細やかな時間配分&行動コントロールが子供たちにも求められるようになっているのかもしれません。

また、生活習慣以外にも重要な要素となるのが”睡眠環境”です。

現代住宅は、外部空間との遮断に重きが置かれた仕様・設計となっているものが多く存在しています。「高断熱」「高気密性」「高遮音性」など。

それらの要素は一見、メリットばかりと思ってしまいがちなのですが、いえいえ・・当然、デメリットともなる要素を含んでいるものなんですよね。

そこで重要となるのが、今の住宅性能&住宅環境に応じた適切な睡眠環境(寝室環境)づくりなのです。

ここでは、建築士として積み重ねてきた経験・知恵をもとに、安眠を得るために心がけておきたい子供部屋の寝具計画に関して、いくつかポイントをお話してみたいと思います。

エアコン位置と寝具位置(ベッド・敷布団)との関係性。

エアコン現代住宅は、高断熱・高気密となっています。特に、マンション(RC造)は、気密性の高い住環境となっているんですよね。

それゆえに、「意識的な湿度調整」がとても重要な要素となります。

加湿器を活用する人が増えているように、”冬季節の加湿”が注目要素となりがちですが、実は、”夏季節の除湿”がとても重要な要素なのです。

睡眠を阻害する要素となるとともに、様々なカビの発生など身体への悪影響を与える要素となるからです。

そのために必要となるのが”エアコンの活用”。現代の住宅環境下では、子供部屋であっても、エアコンの積極的な利用が必要となる状況が多々存在しているものと思われます。

そこで重要となるのが、”エアコンと寝具(ベッド・敷布団)との位置関係”という要素。

睡眠中に直接、冷気が当たるのは、睡眠を阻害する要素となる可能性があるものです。体表面だけが冷やされることは、体深部の体温が下がらない状況を作ることに。結果として、深い睡眠が得られないようになってしまうんですね。

ゆえに、おすすめなのが、『エアコン直下に寝具を配置する』ということ。その上で、エアコンの送風方向を上向きに固定するのです。

冷気は、空気よりも重いため、天井面方向に噴き出されたものは、エアコン対面の壁にぶつかって、床面へと下降。床面付近が涼しくなるとともに、除湿された空気が循環することとなるからです。

壁に設置されている給気口位置に注意!

給気口現代住宅では、”24時間換気システム”の設置が義務付けられています。

各部屋には、かならず外気を取り入れる”給気口”が設置されています。一般的には、写真のような自然給気口が壁面に設置されているケースが多いのではないでしょうか。

で・・・。”換気をする”という意味では、とても重要な給気口なのですが・・。反面、デメリットとも言える要素も有しているんですね。それが・・。

*冷気&高温多湿空気の流入
*外部音の流入

という要素です。

換気をしているわけですから、外気が直接流入してくるのは当然のことですよね。ただ、寒い冬は、とても冷たい冷気が流入。暑い夏には、高温多湿の空気が流入してくることとなるのです。(自然換気の場合)

部屋全体に影響を与えるようなものではないのですが、”給気口周辺”だけは、そんな外気の影響を感じる空間となるんですね。実は、案外大きな外部の音が侵入してくる(外の音が大きく聞こえる)というケースも少なくないのです。(うるさいと感じるほど)

ゆえに、安眠を得るために心がけておきたいのが

*給気口付近に”枕位置”がくるような寝具配置とはしない

ということです。まあ、足元に給気口があっても、冬場は、とても寒く感じてしまうこともありますので、出来れば、給気口から少し離れた位置に寝具を配置するようにしたいものです。

子供部屋に”ベッド”は必要なのか?をしっかり考えましょう。

転落子供部屋のインテリア計画をしようとすると、特に深く考えることなく、”ベッドを購入して配置”してしまう方も少なくないように思います。

しかし、ベッドを購入してしまう前に「本当にベッドが必要なのか?」をまず最初に検討してみていただきたいんですね。

こちらの記事(ベッドのメリット&デメリット)に記しているのですが・・。実は”ベッドの危険性”は無視できない要素だったりするのです。

それが『ベッドからの転落による死傷事故』という要素。案外、表立って話題となりにくい要素ではあるのですが、地震が多い日本においては、特に注意が必要な要素のひとつとなるものです。

子供部屋の大きさに対して、子供の人数によっては、「二段ベッドの活用」が効果的なものとなるケースがありますが、それ以外の状況では、あまりベッド利用の利点が無い(少ない)ものと思うんですよね。

近年、子供部屋・寝室もフローリング床仕様となっているケースが大半。フローリング床に適した仕様のマットレスや敷布団を床に直置き活用するほうが効率的なケースが多いことは、ぜひ、念頭にしておいていただければと思います。

フローリング上に直置きで活用できる人気のマットレス!

生活環境への適正を重視した寝具計画が大切な要素となりますので。

また、寝具配置に関しては、こちらの記事

安眠を得るための”ベッド配置”ポイント!寝返りしやすい配置に。

もご参考にしていただければと思います。